富裕層マーケティングビジネス独り言第5章「富裕層ビジネス 1% V.S 99%」その1
メリルリンチや野村総研の調査によると総資産1億円以上の方は100万人以上いるそうです。日本の人口の1%くらいといってよいでしょう。この1%に入っている方々をどのように取り込むか、が富裕層向けのビジネスという、それはそれで正しいと思います。しかしながら最近よく「それでは商売にならない」という話を聞きます。商売にならないけれど、そのような活動を続けている。
なぜ?それは、英語で言うところのハイクラスとかハイネットワースとかよばれるものの日本語を富裕層といっているからなのだと思います。そういう方々向けのビジネスは間違いなく存在します。けれども世の中で富裕層ビジネスと言われているビジネスのほとんどはそのマーケットを狙ってうまくいくものではないと思います。
洋服の例で考えてみましょう。私もセブンシーズの社長時代にソワレセブンシーズという正装のパーティを年に1,2回主催をしていました。たったの「年に1,2回」です。インターナショナルプロトコルに照らして言えば正装のパーティというものはほぼ毎晩あり、毎晩違う正装をすることが求められる。それがもはや文化なのですね。つまり、いわば現金資産が多い人でないと、そういうパーティに出続けることができない構造になっているわけです。ゆえにラグジュアリーブランドがごく一部の層にのみ非常に売れる、という構造になっています。
翻って日本を見てみると極端にソワレパーティは少ないですから、欧米型のラグジュアリーファッションビジネスなど成り立つはずがないのです。ソワレパーティが生活の一部のような文化と「今日はXXXXのパーティなんだ」というような文化とでは空気感そのものが、前提が違うわけです。それゆえ、欧米のラグジュアリーブランドは日本においては1%の富裕層のみでなく99%のanother marketをおさえねばならない、ということになります。