南紀白浜空港の民営化は空港型地方創生のモデルケースとなるか
南紀白浜空港(和歌山県白浜町)は1968年に開港の旧空港を移設し、1996年に開港した。
2000メートルの滑走路が1本あり、定期便は東京・羽田便が1日③往復する。搭乗客数は2008年度に15万人を超えたが、2016年度は約12万人にとどまっていた。滑走路とその周辺は県が、空港ターミナルビルは県や日本航空などが出資する第三セクターが運営していた。ターミナルビルは年間数百万円の黒字だが、滑走路の維持管理などに多額の費用がかかり、年間約3億円の赤字は県が負担していたことを背景に民営化へと舵を切った。
県は運営事業者に対し(1)国際チャーター便の誘致など航空便の拡充策(2)県が建設する国際線受け入れ機能を持つターミナルビルの設計案―など具体的な提案を求めつつ、県営のまま運営を委託する「指定管理」や、一部の業務を任せる「業務委託」などから事業者が選べるようにするなど異例の好条件も提示し公募した。
2019年4月1日に南紀白浜空港(和歌山県白浜町)が民営化してから3カ月が経過した。
欧米、豪州、ロシアの訪日外国人や首都圏の富裕層をターゲット顧客に設定した。ロシア・ウラジオストク国際空港の運営会社と戦略的協力に関する覚書を昨年、締結するなど着実にその一歩を踏み出している。今後は国内外からのチャーター便やビジネスジェットを誘致しつつ、羽田便の機材大型化や増便、成田便の新規就航を目指し、旅客数を2028年に25万人、2038年に30万人と大幅増の目標を掲げている。
公募で選ばれた南紀白浜エアポートは地元の明光バスやJR西日本和歌山支社と包括連携協定を結ぶなど連携を加速させ、「空港型地方創生」をうたい、地域活性化のモデルづくりを目指している。空港周辺だけでなく紀南地域全体の魅力アップを図ることで赤字の空港を抱える他の地域からも注目を集めている。