神道とは、日本固有のものであり、神話、八百万の神、自然や自然現象などにもとづくアニミズム的・祖霊崇拝的な民族宗教です。

日本人の暮らしの中の自然観と先祖崇拝の念が、その中核をなしています。

遠い昔、私たちの祖先は、農耕や狩猟などを通じて、自然との関わりの中で生活を営んできました。自然の力は、人間に恵みを与える一方、猛威もふるいます。人々は、そんな自然現象に、神々の働きを見出しました。

また、自然の中で連綿と続く生命の尊さを実感し、あらゆるものを生みなす生命力も神々の働きとして捉えたのです。

そして、清浄な山や岩、木や滝などの自然物を、神宿るものとして祀りました。この場所に誕生したのが神社です。神社は日本の至る所にあり、日本人にとっては特に珍しい光景ではありませんが、このような宗教をもたない海外からの観光客は、その数の多さと風景の珍しさに最初は驚くことでしょう。

神道には、古代から培われてきた日本人の叡智や価値観が生きています。自然を守り、自然と人間とが共生すること、地域社会や家族の繁栄を願うことなどです。このような理念が、神々への信仰と一体となって神道が形づくられています。また、神道には、神々をまつる環境として、清浄を尊ぶという特徴があります。神社は常に清らかさが保たれ、祭りに参加する人たちは必ず心身を清めます。これら神道の理念や特徴は、日本人の生き方に深く影響しているといえるでしょう。